17 7月

患者さんの心と向き合うために

看護師を仕事に選ぶ人は、自分が複雑な生い立ちをしていたり、自分が受け取れなかった物を埋めようとして、看護の道に入るということが少なくありません。「欠乏感」や「不満足感」をバネにして仕事を選んでいるわけですが、その場合、自分の満足感と言うものが焦点になるため、満足感が満たされない場合には、とても大きな焦燥感を抱きやすくなります。

ただ、このような闇を抱えているからこそ、相手の心の傷や悲しみが分かり、患者さんの心に寄り添うことができるということもあります。確かに、傷ついた人の気持ちは、傷を持っている人にしかわかりません。しかし、みんな人間ですから誰しも大なり小なりの心の傷は持っているものです。社会的にも看護師のイメージはとても健全であるために、そこにとらわれてしまい「自分は違うのに」と苦しんでしまう人も多いものです。

精神科で患者さんの看護にあたっている場合、心の苦しみに直面するため、「なんとかしてあげたい」「救ってあげたい」と強く思ってしまうものです。ただ、心の苦しみに取り込まれた人というのは、周りが一切見えていない場合が多いものです。「なんでもしてあげよう」と全力投球するのではなく、程よい距離から見守ることも大事になってきます。相手の気持ちになってみながら、ゆっくりと心の傷を癒やしていくことを心掛けましょう。根気強く寄り添うことで絆ができていき、いずれは心の内を話してくれるようになるでしょう。